「さらに6年経過」を追記しました。
これを作った目的は下記の問題を解決したかったからです。 このシステムに変える前は外部式濾過を使ってました。
こんな感じで見た目シンプルに出来ました*1。 (ライブカメラ)
これで上記の問題全てが解決出来ました。
他にも水深が水の蒸発と補給によって変化せず一定になったのは嬉しい。
給排水パイプが太いのは自作なので仕方がないですね。 前の状態でもディフーザー付きの給水パイプと稚エビ吸い込み防止目的のフィルター付き排水パイプがかなりの場所を占めたので占有面積的にはそんなに変わらない感じ。 写真で水槽全体を見ると目障りそうだけどこの水槽は背丈の低い水草とエビがメインなので大抵は底の方に視線が行くので意外と気にならない。
水槽は18x12x22cmサイズの超小型で水量約4ℓ。 濾過槽は12cmキューブサイズで元々花瓶として売られていた物を流用。
水槽の下にあるのが濾過槽で、濾過槽内には給水汲み上げ用水中ポンプと濾過素材、ヒーターを設置してます。
水流が 水槽からの排水 → ヒーター → 濾過素材 → 水槽への給水ポンプ の順に流れるように排水出口の方向と給水口の位置を工夫して設置してます。 蒸発による水の減りを抑えるため蓋もしてます。 蓋は半透明の塩ビ板を切って曲げて自作しました。
給水用ポンプは Rio+ 180 を使ってます。 ただしそのまま直結で水槽へ給水すると水流が強すぎて水槽内が洗濯機状態になってしまうので給水の一部を途中で分岐して濾過槽へ戻す事で給水量を弱めてます。 濾過槽内に写ってるエアーチューブで分岐した水を戻してます。 この分岐部分は本来はディフューザー目的のパーツなんですがそれを水流分岐に流用してます。 バルブで絞るとポンプに負荷が掛かって動作音が大きくなりますがこの方法だと静かです。
生物濾過素材は セラ シポラックス を使ってます。 物理濾過は無しです。 有機物の汚れは濾過バクテリアの餌になる大事な活性汚泥なので除去しません。 放っておくと沈殿するので水槽内では底床に埋もれて目立たないし水草の肥料にもなる。 濾過槽内は目につかないので見た目も気になりません。
エアレーションはオーバーフローの落水にまかせて特にそれ用の器具は設置しません。 濾過槽の水面に写ってる気泡はオーバーフローに巻き込まれて排水パイプから出てきた空気です。
ヒーターは エヴァリス プリセット オートヒーター 10 を濾過バクテリアに温められた水が行くように水槽からの排水出口と濾過素材の間に設置してます。 これで濾過槽内でヒーターから一番離れた給水ポンプ給水位置で24℃をキープ出来ています。
左の上向きに開いてるのが排水口で右の下向きに開いてるのが給水口です。 濾過槽内のヒーターで温められた水を水槽の底に向かって給水して水面の水を排水する事で水槽全体の水温差を少なくしています。
排水口の網は稚エビの吸い込みと貝の進入防止用です。 見にくいけど給水口に付いてる網は停電時に逆流した時の浮き草吸い込み防止用です。 これらは園芸用の鉢底ネットを加工して作りました。
右の途中で分岐してぐるっと渦巻いてる配管は排水パイプで左の1本だけの配管は給水パイプです。
排水パイプの部分はこのページ(http://blogs.yahoo.co.jp/apiqa)で紹介されているダブルサイフォン式オーバーフローと呼ばれるシステムです。 普通のサイフォン式に比べて色々と特徴が有ってその一つにサイフォンブレークが起こりにくいってのがあるのでこれを利用させてもらってます。
配管は水道管規格で一番細い塩ビパイプの VP13 を使って作りました。
配管の設置を工夫してポンプの振動ノイズを聞こえないレベルまで無音化してます。 給水配管は給水ポンプの排水口に接続固定されているのみで水槽を含め他の部分には触れない用に設置してます。 給水ポンプはゴムの吸盤で濾過槽底面に触れているのみで壁面には触れないように離して設置してます。 さらに濾過槽は分厚いフェルト生地の上に設置しています。 排水配管も水槽の枠に引っ掛ける形で固定されていて濾過槽も含め他の部分には触れない用に設置してます。
上は各パイプと継ぎ手の接続図で左中は水槽に設置する時の上から見たパイプの折りたたみ方、右下は濾過槽内の器具や濾過素材等の配置です。
接続図とパイプ折りたたみ図の青線は水槽の縁です。 パイプは折りたたんで q を a に差し込まれた形で設置するので接続図の左右の縁は同じ辺を表しています。
設計段階の図面なので各パーツのサイズが現物とは微妙に異なります。 実際に作る場合は現物合わせが必要です。
図面中の特に記載の無いパイプは VP13 で、記号 J, Js, Ls, Ts, V25, P13 はそれぞれ VP13用方ウチエルボ, VP13用方ウチエルボショート, VP13用エルボショート, VP13用チーズショート, VP13-VP25異径ソケット, 外径13mmのパイプ です。 ショートタイプの入手が困難な場合はロングタイプを切って作ると良いです。
p はバルブの代わりに内径の選択で排水量を調整します。 シリコンチューブが入手と加工がしやすいのでお勧めです。
濾過槽のポンプの上と左を囲っている青線は n から出てきた排水が ヒータ、フィルタ、ポンプ の順に流れるようにするための塩ビ版を曲げて作った整流板です。
初めて使う時はサイフォン管内を水で満たす必要があります。
ポンプを回して n から気泡を含んだ水が排水されれば正常にダブルサイフォンが動作しています。 多少 e, f に空気が残っていてもダブルサイフォンが正常に機能していればいずれ空気は抜けます。
もし排水に気泡が含まれないなら「水量に対して p の内径が太すぎてそこから空気が逆流してしまい吸い出せない」か「n の長さが短すぎて負圧が足りない*4」のどちらかが原因だと思います。 調整してみてください。
e, f の空気が抜けきるまではポンプ停止状態からの再始動時のダブルサイフォン起動に時間が掛かります。 水が水槽から溢れるまでに起動が間に合わない場合は a の排水カップに大きなスポイト等を差し込んで勢いよく水を流し込む事で強制的にダブルサイフォンを起動させます。 一度空気が抜けきるとそれ以降はこの強制スタート作業無しで自動で再始動するようになります。
2011年11月に設置してから5年以上経ってますが、まだ当時作った物が現役で動いています。 メイン水槽のサイズが18x12x22cmから25x20x29cmに変わって水量が約3倍に、濾過槽も12cmキューブから15cmキューブへと約2倍へと変化しましたが、オーバーフロー配管は当時のままです。 配管本体は当時のままですが、給水口の生体吸い込み防止ネットと排水パイプ、排水量調節機構には改良を加えています。 改良点は下記、
水槽内に人工物を設置したくないって理由で、今までエアレーションはオーバーフローの落水に混じる気泡のみで濾過槽に対してしかやってなかったんだけど、給水配管内に設置する方法を思い付いたので生体水槽の方にも追加してみた。
思い付いた方法ってのは、配管を180°曲げるのにエルボを2つ使っていた内1つをチーズに変更して、そこにエアーストーン付きのエアーホースを突っ込んだだけ。 配管の内径13mmに対してエアーストーンの外径が10mmで3mmしか隙間が無いけど、水流が少ないので問題はなかった。 エアーストーン自身が水を通す材質って事も有ると思う。
水槽内にエアーストーンを設置すると気泡が弾ける音がうるさいんだけど、この方法だと大きな気泡はチーズ分岐で上に抜けて水槽内には入らず配管内で弾けるのでほぼ無音になって良い感じ。 炭酸飲料を開けた時の「シュワー」って程度の音しかしない。
水槽の蓋に気泡が弾けて水滴が付くように成ったのが欠点だけど、これは普通のエアーストーンを水槽内に設置する方法でも同じなので仕方がないのかなぁー。 コケが出なければ良いんだけど...
簡単な方法なのに他にやってるって情報が見当たらないので、何か大きな欠点が有るのかもしれない。
さらに性能アップとサイフォン管の小型化を目指して3Dプリンタで作り直した。 給水管も一体化して 高さ148mm, 幅35mm, 奥行き83mm の小型化に成功。 取り付けに必要な水槽蓋の切り欠きも右奥角を 35mm×13mm カットするだけ。 使用している水槽は 横幅25cm, 奥行き20cm, 高さ29cm。
給水ポンプは NEWA Micro MC450 (60Hz) を流水量を絞らずに最大出力で使用。
排水口からダブルサイフォンで吸い出された空気の泡が出るのでエアーポンプが不要になり、ヒータを濾過槽内に設置しているので水槽内の人工物はサイフォン管のみになった。 濾過槽は15cmキューブ水槽を流用。
給水管一体型サイフォン管の外見。
給水管一体型サイフォン管の断面図。 内径9mmの配管を手前から奥に向かって 給水管、普通のサイフォン(排水)管、ダブルサイフォン(排水)管 の順番に3本通している。
生体吸い込み防止スリットは取り外して掃除しやすいように別パーツにした。 スリット幅は2mm。
サイフォン管の各部分のサイズの決め方に付いて解説します。 3Dプリンタに限らず水道管等、他の材料で作る場合でも考え方は同じです。 間違いがあるかもしれないので鵜呑みにせずに検証してから使ってください。 この記事を信じて何が起こっても保証はしません。
参考までに、3Dプリンタで作ったサイフォン管の各部分のサイズは以下の通りです。 小型水槽向けの小型で少ない流量でも動作する設計例です。
排水能力と給水量のバランス調整に付いて解説します。 こちらも、間違いがあるかもしれないので鵜呑みにせずに検証してから使ってください。 この記事を信じて何が起こっても保証はしません。
排水能力と給水量のバランス と 水漏れ発生、騒音発生 の関係は以下の図の通りです。 緑色部分、赤色部分 等の表記は 各部分のサイズ を参照ください。 排水能力はサイフォン管から濾過槽へ伸びる経路の途中にバルブを付けて調整します。 給水量は給水ポンプに水量調節機能があればそれを使う。 無ければ、排水能調整と同様に給水ポンプから水槽の給水口までの間にバルブを付けて調整します。 給水量の調整は給水ポンプに負荷が掛かるので、可能であれば給水量は全開にして排水能力側で調整する事をお進めします。
排水能力と給水量の関係 では [ダブルサイフォン動作の排水能力 = 給水量] の調整が一番良さそうに思えるけど、この調整はかなりシビアで配管やホースの汚れ等で簡単にバランスが崩れます。 この状態を再調整なしで長期間維持するのは難しいです。 もし [給水量 > ダブルサイフォン動作の排水能力] 側に崩れた場合、水漏れに繋がるので危険で [ダブルサイフォン動作の排水能力 = 給水量] と [給水量 > ダブルサイフォン動作の排水能力] は共に無音なので変化に気が付きにくく、気づいた時には床が水浸しって事になりかねません。
なので、ダブルサイフォン動作の排水能力が給水量より少しだけ上回る調整をお勧めします。 この調整だと騒音が発生するけど小さな音なのでほとんど気になりません。 この調整は [ダブルサイフォン動作の排水能力 = 給水量] ほどシビアでなく調整範囲が広いので長期間再調整なしで維持できます。 もし、バランスが崩れて [ダブルサイフォン動作の排水能力 = 給水量] になった場合には騒音が止まるので気が付き易いのも利点です。 逆に、ダブルサイフォン動作の排水能力が給水量より大きく上回る方向にバランスが崩れた場合は騒音が大きくなるので、こちらも気が付き易くどちら側に崩れたのかの判断も容易です。
排水能力はサイフォン管の排水ホースをバルブで絞って調整します。
効果的なバルブの絞り形状が判らなかったので、3パターンのバルブ形状 の左側の 平らに絞った 場合と、中央の 水滴型に絞った 場合、右側の 円形に絞った 場合で比較検証した。 流水部分の断面積が同じ場合の消音効果は 円形に絞った > 水滴型に絞った > 平らに絞った の順になった。 理由を説明出来ないのでこれが理論的に正しいかは不安。
排水ホースの絞りに関してはもう一点注意すべき事が有って、ホースが詰まる = 水漏れ発生 なので、バルブの絞りはサイフォン管給水口のスリット幅より広くしたい。 ホース詰まりの点からも同じ効果でも断面積がもっとも広い 円形に絞る が良いように思う。